別の記事で、勉強とは、✖を〇にすることだと書きました。
そこでも触れていますが、学校に通っている人が勉強するうえで一番大切なのは授業です。
授業をないがしろにしてはいけません。
なるべく授業中に「わかる」「覚える」状態に近づけましょう。
そして「わかった」「覚えた」知識やスキルをテストや実生活で使いこなせる、つまり「わかる」から「できる」状態にするためには復習が不可欠です。
忘れていい記憶と、忘れたくない記憶
どうせなら効率よく復習したいですよね。
復習するタイミングによって簡単に身についたり、逆にほぼ覚えていなかったりという違いが起きます。
それは、脳のつくりによるものです。
脳科学の分野では記憶は「短期記憶」と「長期記憶」の2種類に分けられます。
短期記憶にある情報はすぐに忘れ去られてしまいます。
もし脳に入ってきた情報をすべてコンピュータのように記憶していたら混乱してしまうので、人間の脳にとって「忘れる」機能はとても重要なんですよ。
記憶をコントロールしているのは海馬(かいば)と呼ばれる部分です。
海馬は脳が受け取った情報を長期記憶に移して保管するか、要らないと判断して忘れるかを決める仕分け人としての重要な役割を持っています。
そして、海馬が情報を重要かどうか判断する基準が「それは自分が生きていくために必要かどうか?」というものです。
つまり「ろとむ」や「なろけ」みたいな無意味な文字をいくら覚えたところで「そんなものはどうでもいい。生きていくために必要ない!」と海馬は判断し、どんどん忘れようとするわけです。
どうすれば長期記憶にたくさん情報を詰め込むことが可能になるの?
同じ情報を何度もインプットし続けることがポイントです
海馬は何回も同じ情報が入ってくると「こんなに頻繁に入ってくる情報なんだから重要に違いない」と思って長期記憶の方へ移してくれるようになります。
さらにインプットに加えて、実際にそれを使って問題を解いたり人に説明したり(=アウトプット)することで、記憶はより強く鮮明になっていきます。
その良い例が自宅の住所や電話番号です。
これらの文字そのものに特に意味はありませんが、何かの書類に記入したり、人に伝えたりしているうちに自然と暗記していますよね。
携帯電話が普及して電話番号を覚えられない、というのも脳に繰り返しインプットする必要がなくなったからです。
復習のタイミングはいつがいいの?
その日は絶対!できたら次の日もやっておきたいところです
実は、海馬が情報を一時的に保存しておく期間は約30日間だということが分かっています。
30日を過ぎると短期記憶の中から放り出されて忘れ去ってしまうわけです。
最初に覚えた時から30日以内に何度もくり返し同じ情報をインプットし続けることが、長期記憶を作るときの超重要ポイントになります。
長期記憶を効率的に増やしたい人は、それを最初に習った日のうちに必ず復習しましょう。
記憶しなおす手間を節約して効果的な反復学習ができるからです。
さらに1日後、3日後と時間をおかずに何度も復習すれば、海馬に「これは大事な情報だ」と思ってもらうまでの負担が少なくて済む、つまり効率的に記憶量を増やして良い成果を出すことにつながります。
逆に考えると、初めて勉強したときから30日以上たって復習しても短期記憶にはほとんど情報が残っていないので、はじめからやり直すのと同じくらいの手間がかかることになります。
脳の記憶の仕組みを理解していれば、日頃から復習をくり返しやるほうが全体的な負荷は少ないことに気づけるはずです。
テスト直前に一夜漬けしている人はいませんか?
授業で習った時から一度も復習しないでテスト前日だけ勉強するのは、もう一度最初からやり直しているのと同じことなので非効率的きわまりない方法と言えます。
また、一夜漬けの人はテスト後に復習することはまず無い(図星!)ので、せっかく暗記したことも短期記憶のまま30日後には忘れ去られることになります。
これでは「勉強するだけムダ」ですね。
学校ワークの使い方
基本的には、その日学校で習った範囲を学校のワークで復習しましょう。
繰り返しになりますが、習ったことをその日のうちに復習すれば頭に入りやすくなります。
定期テストは授業で習ったことがどれだけ定着したか確認するためのものなので、学校ワークを基にして作成される問題が多くなります。
今は平均点に満たない人も、学校ワークさえ徹底的にやっていれば定期テストでの80点超えも夢ではありません。
やるかやらないか、ただそれだけの差です。
1回目は直接書き込むのではなく、コピーを取って書き込むのがいいですよ。
なぜなら、テスト前に同じ問題に繰り返し取り組む必要があるからです。
どうしてもコピーが難しい人はノートでもいいですけど、その場合は問題番号がわかるように整理して書いてください。
だいたいのワークは問題が「基本」「標準」「発展」のように難易度で分かれています。
日々の復習では基本問題だけで十分です。
80点以上を目指している人は週末に応用や発展の問題ができるといいですね。
ワークの演習は「解く」「〇つけ」「解き直し」で1セット。
以下の7ステップを同じ日に行います。
1回に解く量は1ページ分が目安です。
ただし、例えば大問1~4まであるのに3と4の内容をまだ習っていなかったら1と2だけでOK
自分の答えと解答を照らし合わせて〇✖をつけていきます。
この時点で模範解答や解説を確認するのは、どうしてもわからない問題だけにとどめます。
ワーク本体の問題番号の横に赤ペンで〇△✖の印をつけます。
〇→正解
△→正解したけど自信がない or 不正解だけど書き間違いや計算ミスなど単純な間違い
✖→不正解
△✖印の問題をもう一度解きます。
ここでもコピーの方がいいですよ。
ここでは模範解答と解説を見て理解を深めます。
ステップ③でつけた印の横に赤ペンで〇△✖の印をつけます。
〇印がつかなかった問題を解いて〇つけと〇△✖チェック。
ステップ①~⑦で1セットになります。
テストまでに2セット、3セットとやることで〇印が増えていきますよ。
はじめのうちは苦しいかもしれませんが、これが「当たり前」になったらステキな未来が待っています!
まとめ
脳の海馬がコントロールしている記憶の仕組みを理解することで、反復学習を日頃から継続することが勉強の王道だとおわかりいただけたと思います。
脳の構造的に難しい(病気や事故の影響などで)こともありますが、多くの場合は記憶力の良い人、悪い人の違いも結局は脳の使い方がうまくできているかどうかの違いでしかありません。
地道な反復をできる人が勉強でも成果を出せるのですね。
出典:https://zooming.jp/forgetting-curve/